小さな会社がNo.1になれるコア・ブランド戦略 

小さな会社がNo.1になれるコア・ブランド戦略(PHP研究所)

著者 ‏ : ‎ 加藤洋一
出版社 ‏ : ‎ PHP研究所
発売日 ‏ : ‎ 2010/4/16
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 215ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4569779301
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4569779300

USPマーケティングの実践により異様な早さでNo.1ブランドが量産された
USP関連書籍第2弾!

この本で伝えたいのは――
小さな会社が、遠回りせずに、そして何十年と持続する“正しい成功”の道を歩むための、リアルな指針です。

私は、かつてビジネスで一時的な金銭的成功を手にしたことがあります。
でも、手に入れたのはお金だけでした。
その過程で社員との信頼、家庭の平和、兄弟との絆、自分という人間の軸まで見失った。
正直に言えば、あの時の自分は「勝っていた」のではなく、「壊れていた」んです。

だからこそ、私は断言できます。
短期的なテクニックや売上だけを追いかけるマーケティングでは、長く愛される会社なんてつくれない。
本当に必要なのは、外に向けた成功と同時に、内なる充実を伴う成功なんです。

そのために私が提唱しているのが「コアブランド戦略」です。
これは、単なるブランド論ではありません。中小企業が、社員を幸せにし、お客様に信頼され、そして創業者としての想いを貫くための“骨太な経営戦略”です。

この戦略は、以下の三層構造で成り立っています。

① 社長の「コア」――人格そのものが会社の原点
中小企業において、会社は「社長そのもの」です。
社長の在り方、考え方、人間性――すべてが経営に滲み出ます。
だから、社長自身の“コア”が成長すれば、社員も、組織風土も、そして顧客との関係までも変わっていく。

しかも、創業者がいる場合は、そのDNAをいかに引き継ぎながら自分らしく磨いていくか、という視点も重要になります。

② コア・プロセス/コア・テクノロジー――他社が真似できない「隠し味」
社長のコアから生まれるのが、会社独自の「ノウハウ」や「仕組み」。
私はこれをコア・プロセス、あるいはコア・テクノロジーと呼んでいます。

③ シュガー・コート(USPメッセージ)――外に向けて“おいしそう”に伝える技術
どれだけ中身が素晴らしくても、それが伝わらなければ選ばれません。
だから最後に必要なのが、「顧客にとっての魅力」として外に発信するUSPメッセージ=シュガー・コートです。

ここで誤解してほしくないのは、「うまく見せよう」という話ではないということ。
中身の価値を、相手が“おいしそう”と思えるように翻訳する――そのための技術なんです。
多少の誇張はOK。ただし、自分たちの身の丈と芯からはブレてはいけない。

私が提唱している「コア→組織風土→コアプロセス→USPメッセージ」という四層構造。
これは、うまくいっている会社が自然と実践している順番でもあります。
この構造がしっかりしていれば、無理な営業も、価格競争も必要ありません。

本書では、この戦略の全体像に加えて、実際に成果を出した中小企業の事例を数多く紹介しています。
どれも現場の汗と涙から生まれた“リアルな勝ち方”です。

そして最後に伝えたいのは、ブランディングは大手企業だけのものじゃないということ。
むしろ、小さな会社ほど、「社長の想い」がそのままブランドになる。
だからこそ、社長自身が“自分のコア”を見つけること。
それが、真に選ばれるブランドづくりの第一歩なんです。

書籍の要約ポッドキャストは下記より聴けます。

小さな会社がNo.1になれるコア・ブランド戦略 目次

はじめに
 小手先テクニックだけでうまく行くのだろうか?

序章 いま「小さな会社のブランド」が注目されている
 小さな丘に小さな旗を立てる
 ブランドを築くということ
 小さな会社に向いているコア・ブランド戦略とは

第1章 なぜ、小さな会社にもブランドが必要なのか?
 価格競争に巻き込まれるのは、ブランドがないから
 売れ行きが悪いのは、ブランドがないから
 お客さまに生涯愛されるにはブランドが必要
 小さな会社は、高付加価値戦略のためにブランドを
 長期的な成功にはブランドが必要
 ブランドは、大企業の専売特許ではない
 小さな会社のブランドゴールは、「●●だったら▲▲会社だよね」
 自社のコアが、だまっていてもネットで伝わる時代
 小手先のテクニックだけでは、ブランドはできない
 こんな「小手先のテクニック」では、底の浅さが見透かされる①
  テクニック重視はむしろ没落を速める!
 こんな「小手先のテクニック」では、底の浅さが見透かされる②
  自社のコアとギャップがあるお客さまを集めてはいけない!
 こんな「小手先のテクニック」では、底の浅さが見透かされる③
  自分の業界のライバルを真似るとブランドはできない!
 こんな「小手先のテクニック」では、底の浅さが見透かされる④
  インターネットのSEO対策だけでは、ブランドができない!
 ブランドのあるとないでは、こんなにも違う
 ブランドのあるなしで分かれる小さな会社の明暗 その①
  トヨタの減産で倒産した会社、過去最大規模の取引を受注する会社
 ブランドのあるなしで分かれる小さな会社の明暗 その②
  不況で潰れる飲食店、客単価が4倍になって繁盛する飲食店
 ブランドのあるなしで分かれる小さな会社の明暗 その③
  優秀なスタッフが退社する美容室、一流スタイリストがゾクゾク集まる美容室
 優秀な人材を確保するにも、ブランドが影響してくる
 お客さま、社員、自身が幸せになるためにもブランド重視の経営を!

第2章 こんなブランド戦略ではイエローカードかもしれない
 大企業のブランディングは、真似してはいけない
 むずかしいブランドの本は、ほとんど役に立たない
 相談するなら「●●だったら▲▲会社だよね」ができている業者に
 クレドは、取り扱いに厳重注意!

第3章 小さな会社がブランドになれる「コア・ブランド戦略の秘訣」
 ロングセラー「チョコボール」の構造こそが、コア・ブランド戦略の秘密
 世界的な絵本「うさぎとかめ」も、コア・ブランド戦略をやっている!
 ハリウッドの大ヒット映画も、コア・ブランド戦略をやっている!
 コア・ブランド戦略は小さな会社でもすぐ取り掛かれる!
 コア・ブランド戦略の秘訣①
  強火よりも「ジワーッ」という炭火のイメージ
 コア・ブランド戦略の秘訣②
  売り手目線のマーケティング「4P」からお客さま目線の「4C」へ
 コア・ブランド戦略の秘訣③
  本当に言いたいことをストレートに伝えるのは、嫌われる?
 コア・ブランド戦略の秘訣④
  自社のコア部分は、海の中の氷山にしておく
 コア・ブランド戦略の秘訣⑤
  チョコレートのおいしさを引き出す「隠し味」を重んじる
 コア・ブランド戦略の秘訣⑥
  お客さまにとっておいしそうに見えるように、デコレーションする!
 コア・ブランド戦略の秘訣⑦
  「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」に習ってはいけない
 コア・ブランド戦略の秘訣⑧
  ブランドを維持するには、俳句界のブランドメーカー松尾芭蕉に学ぶ

第4章 地域・業界NO.1ブランドになるための8ステップ
 コア・ブランド戦略の大きな流れ
 ステップ1:社長のコアを見つける、伝える
  ~ブランディングのためにブレない軸を作っておく~
  価値観を明確にする自分の棚卸しのコツ
  自分の年表を作ってみる
 大事な価値観につながる質問に答えてみる
 ステップ2:コア・テクノロジー/コア・プロセスの明確化
  ~ブランディングするための商品・サービスの隠し味を見つける~
  コア・テクノロジー/コア・プロセスの見つけ方
   その① 顧客アンケートから見つける方法
   その② 顧客インタビューから見つける方法
 ステップ3:ブランディングする商品・サービス選定
  ~突破口を開くために強い商品を見つける~
 ステップ4:商品・サービスのシュガー・コート
  ~「おいしそう」と思われるようにお客さま目線で思考する~
  起きた事実を、少しだけ背伸びして伝えるのがコツ
 ステップ5:ライバルの商品・サービス調査
  ~業界でのポジショニングを確認する~
  プロのマーケティング・コンサルタントはこんな業界の見方をする
 ステップ6:マーケティング施策の見直し
  ~マーケティング活動をお客さま目線で見直す~
  インターネットマーケティングはこうやる
  リアルマーケティングはこうやる
  リアル×インターネットでブランドを作るスピードを上げる
 ステップ7:ブランド浸透度リサーチ
  「●●だったら▲▲だよね」が出来ているか調査する。
 ステップ8:ブランドの維持および他展開
  ~ブランドの維持と展開の方針を決める~
  自社で取組むためのポイント
  次章の成功事例を見る際のポイント

第5章 小さな会社のコア・ブランド戦略の成功事例
  お誕生日の店として注目され、平均単価も4倍になったカジュアル・フレンチレストラン
  お客さまと一緒に喜ぶことが大好きなシェフのブランディング・ストーリー
  潰れる寸前で顔色も悪かった5年前
  起死回生のお客さまアンケート
  誕生日、記念日のお店というブランドが浸透し、平均単価4倍のお店へ
  毎日がハッピーな気分
 たった365日で業界No.1になった中古本販売店
  徹底的に楽しむ! 元トッププロウェイクボーダーのブランディング・ストーリー
  大手チェーン店の出店攻勢で赤字に
  新しいサービスで起死回生をはかる
  失敗続きだった飛び込みセールス
  3つの業界でNo.1のサービスブランドへ
  社員にも浸透している「自分が楽しむ」マンガレンタル
 累計60万丁のヒットブランドを育てた工具メーカー
  東大卒遊び心たっぷりのメーカー社長のブランディング・ストーリー
  宝塚は「清く正しく美しく」、工具は「強く楽しく美しく」
  売れなかった「もっさいパッケージ」
  ヒットのプロデュースの合言葉は、「MPDP」
  著名な賞をトリプル受賞するヒットブランドへ
  おもろい工具を企画するチーム
 わずか180日で地域No.1ブランドになった美容室
  生活をデザインするという美容師のブランディング・ストーリー
  信頼・実績ゼロからのスタート
  自分の技術を、お客さま目線のコピーでアピール
  わずか180日で地域No.1ブランドへ
  生活をデザインする夢
 1年で地域最大の店舗ブランドになったリラクゼーションサロン
  起業6年目の若き社長のブランディング・ストーリー
  治療院では、多くの給料を払うことができない
  苦労した業態転換
  1年で地域最大数の店舗ブランドへ
 企業のCSRを支援するブランドになった廃棄物中間処理会社
  変化と成長をモットーにしている社長のブランディング・ストーリー
  廃棄物処理業者は見下されていた
  学生にも見下されていたが……
  地域No.1ブランドとしての責任。ただの業者からパートナーへ
  かかわる人みんなが、変化と成長をしてもらいたい
 江戸時代から続く伝統製法をアレンジし、マスコミに引っ張りだこの酢醸造元
  13代目当主の「不易流行」ブランディング・ストーリー
  座右の銘は「著作等身」
  信用は守り続けていたが、売上は……
  著名雑誌、テレビなどを賑わすブランドに成長
  中野さんに変わることなく受け継がれてきたもの
 オリジナルのスタイルで相見積なし!
 暮らしの価値を提案する工務店二代目社長のブランディング・ストーリー
  最初は、家を売っていたから価格競争に!
  枝葉の問題解決から根っこの価値観へ
  お客さまの住みたい家は、社員も住みたい家
  相見積なしの人気ブランドへ
  夢はコスモスタイルを全国に!

第6章 コア・ブランド戦略とは「道」である
 ブランドを築くのは、生涯終わらない「道」を歩むようなもの
 自社だけの秘め事「○○道」のススメ

おわりに